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マチのデンドロビューム

いつも楽しく暮らすための覚え書き

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わたしのあこがれ

 右下の自己紹介のところにも書いたとおり、娘時代の私のあこがれはコッコであった。長い髪に長い腕、白いドレスとしなやかに伸びた脚、どこを見ているのか分からない、大きな瞳。潰れたつまさきで踊る、私のバレリーナ、コッコ。コッコがいたから暮らしていけた。コッコがいたからみじめな日々でも生き延びることができた。コッコがいたから悪臭放つ毎日の中でも私はお姫様でいられた。コッコは私のために微笑み、泣きわめき、怒ってくれた。

 それから数年経ち、最近コッコが料理の本を出したらしいことを新聞広告で知った私は、この間本屋でようやくその内容を確認してきたのだが、それによって私はあることに気づき、衝撃を受けた。

 まず、この料理の本によって私が新たに得た彼女に関する情報であるが
①コッコは料理をする。しかも、おしゃれで小奇麗な料理を、する。
②そしてそのことを世間にアッピールしたいと願っているわけである。
③さらに、コッコの故郷沖縄で調理風景をロケしてるわけなのだが、驚くべきことに、母上様と、伯母上さまと、祖母上さまと、親戚一同和気あいあいと、料理をしている絵と語りなのである。その上ひいおばあちゃんにも会いに行くコッコ嬢…コッコの年代でひいおばあちゃんって…さすが沖縄よ…。

 …嗚呼、コッコが料理をするなんて。彼女に包丁を持たせたら、壁じゅう傷つけながら振り回して、家を飛び出し森の中深く、どこまでもどこまでも追いかけてくるのが本当じゃなかったのか!
 …嗚呼、コッコの家族が生きてたなんて。彼女を猫可愛がりした赤毛のママを幼い彼女がある日、高いところから突き落としたりしたんじゃあなかったのか!親戚中から疎まれ蔑まれ、学校ではいじめられ、消え入りそうな声で歌を口ずさむことと、鮮やかな絵を描くことだけが唯一つの救いであった、わけではなかったのか!

 私はそのとき初めて、自分がコッコについておとぎ噺をつくっていたんだなあってことに気が付いた。そして私がコッコに対して信じてたそれって、デトロイトメタルシティーのクラウザーさんにまつわる伝説とおんなじだなぁ、と思いました。わたし本気で、コッコには父さん母さんいないんだと思ってたもん… 
♪ 俺に父さん母さんいねえ それは俺が殺したから

 コッコも年をとってだいぶ丸くなったんですね。私も大人にならないとな。…にしてもミュージシャンって、偉くなるとなんで世界平和とか歌い出すんだろ。世界の子供たちの笑顔とか願うんだろ。
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